本を片手に街へ飛び出せ! 青山ブックセンターに聞いた、気になる「街本」

青山ブックセンター

表参道に本店を構える青山ブックセンター(以下ABC)。haletto編集部もよく資料を探しに行く、大きな本屋さんです。「読む」がテーマの9月。本店店長の中田麻美さんに、青山ブックセンターが大切にする本を選ぶ視点と、秋だからこそ持って出かけたくなるオススメの街の本=「街本」について聞きました。

青山ブックセンター

中田麻美店長

haletto編集部(以下編集部):「きょうは本にまつわるお話を伺い、最後におすすめの本をご紹介いただければと思います。まずは、青山ブックセンターで働くようになったきっかけを教えてください」
ABCの中田さん(以下中田さん):「もともと、違う書店でアルバイトをしていたのですが、数年働いて、ここの社員になりました」
編集部:「やっぱり、本が好きだったんですか」
中田さん:「本というよりは、本屋さんが好きで。それで関わるようになりました」
編集部:「青山ブックセンターは、大きな本屋さんですが、小さなコーナーがたくさんありますよね、どのように選ばれているんですか?」

青山ブックセンター

青山ブックセンター

青山ブックセンター

中田さん:「各棚に選書担当がいて、その担当が選ぶことはありますし、もちろん出版社さんや著者の方からお声掛けいただくこともあります」
編集部:「そして店長さんのOKが出て…?」
中田さん:「お店の空気やお客様と接しているのはスタッフなので、そこはある程度信じて任せています」

青山ブックセンター

編集部:「最近だと作家の山田ズーニーさんや写真家の池田晶紀さんなど、ABCさんで開かれたイベントに参加しました。どのように企画されているんでしょうか」
中田さん:「ここ一年くらいは、特に意識的に増やそうと思っているんです。トークイベントは都内でもすごく増えています。飽和状態といってもいい中で、本だけではなくて著者の方と、お客様をつなぐきっかになる存在でありたいと思っています。あえて、その著者のファンで、青山ブックセンターを知らない方をターゲットにしています」

編集部:「出演をお願する基準はやっぱり、販促が大きいのでしょうか」
中田さん:「これまでご一緒させていただいたつながり、というところもありますし、やっぱり売りたい・広めたいというところが大きいと思います。そこは、イベント担当者に任せています」

編集部:「はじめにおっしゃっていた、本屋という空間が好きというのは、どういうことなのでしょう」
中田さん:「本という『もの』が好きなんですよね、きっと。それがいっぱいある空間ということ。そして、お店には毎日知らない情報がどんどん入ってきます。私自身、ここで働くまで写真家さんやデザイナーさんに詳しくはなかったのですが、お客様が本を買われていくのを見ていくうちに新しいことを知ることができます。本屋にいるだけで、自分だけでは知らなかったことが眼に入ってくるので、それが楽しいんです」

青山ブックセンター

編集部:「わたしが本屋を好きな理由も、気分が乗らないときに眼に入ってくる新しい情報があったり、そこから興味が広がっていったり。ABCさんに来ると、新刊や売れ筋本を並べているだけではなくて、昔の詩集など掘り出し本が並べられていて、特設コーナーの置き方も刺激になります」

青山ブックセンター

中田さん:「その視点は忘れないようにしています。この本、この棚だけじゃもったいない。どうしたらお客様に届くか、興味を持ってもらえるかを悩みながらやっています。それが伝わればいいなと思っています」
編集部:「とても、伝わっています(笑)」

編集部:「このお店を知らない人に、この書店ってこうです、ということばってありますか」
中田さん:「それは常に迷っている点ではあるのですが」
編集部:「お店の外に掲げられているキャッチフレーズ、すごく印象的でした」

青山ブックセンター

中田さん:「そうですね、店員たちで何か伝えよう、とコピーをあつめて、選んだものです。ネットでふわっと流れてしまったり、スマホで事足りる世の中で、リアルな店舗としてお客様にできることはなんだろう、というのはずっと考えていて。この言葉は、おかげさまですごく好評をいただいています」
編集部:「コピーライターさんが書かれたものではないのですね! halettoも検索ではすぐにみつからないこと、こぼれてしまうこと、取材して初めてわかることを大切にしています。すごく刺激をいただいた言葉でした」

編集部:「街の小さな本屋さんについて、どう思われていますか」
中田さん:「本屋がなくなっていく、本が売れない、など本に対してネガティブな話題が多い中、街のすてきな本屋さんが話題になって、本を読む行為を盛り上げていくのはすごくいいなと思います。電車に乗った時、みんなスマホを見ているのを見ると少し悲しくなることがあるので、どんなきっかけでも本に触れる機会が増えるのは嬉しいです」

中田麻美店長

編集部:「店長さんとして、意識的にたくさん本を読まれるんですか」
中田さん:「今は子供も小さくて、あまり本を読む時間がとれていないのですが、その分現場のスタッフは本当に詳しいです。みんなとてもたくさん、幅広く読んでいて、知識を共有してもらいます。棚を編集するスペシャリストたちです。もちろん、お客様にご案内できるよう、常に最低限の理解はしておくようにしています」

青山ブックセンター

編集部:「本店と六本木店との違い、特色はどんなところだと思いますか」
中田さん:「本店に比べ、六本木店は街自体、美術館やギャラリーの多いところなので、アート系の本を打ち出すような方向性はありますね」
編集部:「とても広い店舗ではないけれど、美術書の割合が大きいイメージありますね」
中田さん:「一通りの品ぞろえはしていますが、やっぱり比率は大きいでしょうね」

「みちくさ 2」著:菊池亜希子 出版:小学館

中田さん:「みなさんよくご存知かと思いますが、これは実際に街を歩いて書いている本です。私は、菊池亜希子さんは昔から好きでして。いわゆるガイド本はお店の情報がしっかり載っていますが、この本は1ページの文章と写真、街の様子を見開きのイラストで書いているという形なんです。

青山ブックセンター

知っている街でも、『こんな路地には、まだいってなかった』という部分がたくさん載っているので、『いってみようかな』と、新しい発見をくれます。実際にいってみると『あ、絵はこうだったけどこうだった』とか。そういうテイストもいいなと思って選びました。よくある『情報』ではなくて、街の雰囲気を伝えてくれて、行ってみようと思わせてくれる本です」

編集部:「実際、この本を読んで出かけた街はありますか」

中田さん:「紹介されている東急東横線白楽駅は行ったことのある駅だったのですが、あらためて行ってみました。降りて歩いてみたり。やっぱり知らないことがありますね。きっと持っている方もいるのでしょうが、まずはおすすめに挙げさせていただきました」

「いいビルの写真集 west」著:BMC(ビルマニアカフェ)出版:パイインターナショナル

中田さん:「この本で紹介しているのは、関西なんですけど。私はもともと、マニアとまではいきませんが、ビルって面白いなと思っていまして。普段歩いていると自分の目線くらいしか見ませんが、たまに空を見ると建物の上部分だけ形が変わっていることに気づいたりしませんか。東京は面白い建物が多いので、おでかけの新しい切り口になるかなと。本店では建築のコーナーにあって、ロングセラーなんです。今はビルマニアの方も多いのかもしれませんが、ひとつの気づきのきっかけになるかなと思いました。写真が本当にきれいですよ」

青山ブックセンター

編集部:「建築に興味がある方が多いんでしょうか」
中田さん:「デザイナーさんが参考に、という方もいますし、ただ参考に、という方もいますね。前にいた六本木店でも、外国の方によく売れていました。東京のビルが紹介されている本は人気です。東京版も出してくれないかなと思っていました」
編集部:「このビル、見たことあります」
中田さん:「当たり前に見ていた風景が、違って見える本かなと」
編集部:「それがきっかけで、その建物の中に入ったりするかもしれませんよね」
中田さん:「高架下とか、ニッチな分野でつながっていくことはありますね」
編集部:「この辺に面白い建築はありますか」
中田さん:「国連大学は世界的建築家の丹下健三さんが手がけていたり、表参道のファッション店はほとんど、有名建築家によるものですよね」
編集部:「そういえば近くのユトレヒトさんが入るビルとかも、素敵ですよね」
中田さん:「一本入ると、住宅も面白いのがあったりしますね」

「日本のお守り」監:畑野 栄三 写真:浅田政志、石川直樹 刊行:池田書店

日本のお守り

中田さん:「お守りの本なんですが、全国色んな神社のお守りを集めた本です。ご朱印帳も流行っていますが、お守りもおすすめです。お散歩すると大体、小さな神社に出会うことってあるじゃないですか。そこで売っているお守りって、昔からあるもので、地域のおみやげだったりしますよね。それを通して、その土地のことがわかるのでいいなと思っています」
編集部:「東京のものもたくさん紹介されているんですね」

中田麻美店長

中田さん:「お土産屋さんで見るのとはまた違う印象ですよね。お守りの成り立ちも紹介されています。様々な形・タイプがあるので、それを探すのがお散歩のきっかけだったり、街を知るきっかけになったりするのかなと思います」
編集部:「こういう変わった形のお守りって、普段、あんまり見ないです」
中田さん:「お守りというとやっぱり、いわゆる袋守りをイメージしますけど、わたし自身、その土地に根付いたものがもともと好きで。そういったものを目当てにするお散歩もありかなと思ったんです。写真は写真家の浅田政志さんと、石川直樹さんが撮っていて、味がありますよね。普通のお土産本ではないな、というところもおすすめです」

halettoオリジナルブックカバー

今月の特集「陽炎、東京リーディング」にあわせて、2017年9月16日(土)より、青山ブックセンター本店、六本木店でハードカバーの本を購入すると、「halettoオリジナルブックカバー」をプレゼントいたします。本を片手に、街へ飛び出しませんか  ― 。

※文庫・新書、雑誌などのサイズの大きい書籍は対象外となりますのでご注意ください。※2017年11月に配布終了いたしました。ありがとうございました。

青山ブックセンター

本店
東京都渋谷区神宮前5丁目53−67 コスモス青山ガーデンフロア
TEL:03-5485-5511
営業時間:10:00-22:00・無休
アクセス:東京メトロ「表参道駅」 徒歩7分

六本木店
東京都港区六本木6丁目1−20 六本木電気ビルディング 1F
TEL:03-3479-0479
営業時間:月-土 10:00-23:00/日・祝10:00-22:00・無休
アクセス:都営大江戸線「六本木駅」すぐ

成田空港店
千葉県成田市 成田国際空港 第1ターミナル中央ビル(中央棟新館)4階
TEL:0476-32-8550

Webサイト:http://www.aoyamabc.jp/

編集/ライター

埼玉県生まれ。池袋偏愛の編集担当。名画座、着物、紹興酒が大好き。興味の基本はアート・デザイン・建築。好きな色は、とにかく赤。カラオケは、昭和歌謡が十八番。歩くのが異常に早い。よくいるところは純喫茶。

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