風が夏のわたしを涼しくする 三宿「H TOKYO」の「TOKYO UCHIWA」

TOKYO UCHIWAは、個性的な柄のおしゃれだけでなく、一本一本が丹精込められた伝統工芸品。TOKYO UCHIWAを探して、夏の日差しの中を三宿の商店街へと出かけました。

つい、うちわが街頭で配られることに慣れて、何本も広告付きのうちわが手元に溜まっていきます。でも、夏祭りや花火大会など夏のおでかけに持っていくと気分が上がる、お気に入りのうちわが持てたらいいな、なんて。

TOKYO UCHIWAは、カラフルな柄や、珍しい図案が新鮮に映ります。町で配られる消耗品ではなく、愛着が持てそうです。

TOKYO UCHIWAに並ぶのは、丸亀、京都と並ぶ日本の三大うちわの一つ、「房州うちわ」です。日本の伝統工芸品としてのうちわにも興味が湧きます。

製造元のオールドファッション株式会社が運営する、ハンカチ専門店「H TOKYO」に伺いました。三軒茶屋から歩くこと15分。三宿の商店街にある小さなお店です。外から見ると、ガラスの鉢にメダカが涼しげに泳いでいます。

店内はブルーの壁に囲まれ、いくつかの絵がかかるシックな雰囲気。アパレルバイヤーだったオーナーが、自分が持ちたくなるようなおしゃれなメンズのハンカチを求めて、お店を立ち上げたのがはじまりだそうです。

スタッフの岡崎伊都子さんに話を聞きました。

岡崎さん:「TOKYO UCHIWAは、自分にしっくりくる一本を選ぶ楽しみのあるうちわです」

同じものはほとんどないという、うちわの表面に貼られたのは、紙ではなくリネンやコットンのデザイン生地。お店にならんだハンカチの端切れを使っているそうです。

その「H TOKYO」のハンカチの布地は、天然素材で、国産のシャツ生地の他外国の特別な生地や、デザイナーとのコラボ企画というこだわりのものです。

小さな傷があるだけで製品にできないハンカチ生地を、再利用するために作られたのが「TOKYO UCHIWA」の成り立ち。小物のおしゃれを大切にするオーナーがこだわった生地を大切に使い切りたいという想いが伝わります。

魚を専門に描く魚譜画家、長嶋祐成さんのカタクチイワシのハンカチも個性的で他では見たことがありません。長嶋さんが描いたフグ柄のハンカチと同じ柄のうちわもあります。

「H TOKYO」のハンカチ生地が表面を飾る「TOKYO UCHIWA」には、千葉県の房州うちわと埼玉県の越生(おごせ)うちわの二種類の形があります。どちらも江戸時代からの伝統工芸で、木と紙で手作りされています。

大小2タイプの房州うちわは、一本の丸くて細い竹を割いて骨組みを作る見た目も美しい工芸品のようなたたずまい。しなりのある細い竹を生かし、柔らかい風を生み出します。

岡崎さん:「房州うちわが作られるまでに21の工程があり、それぞれに分業で行われている職人芸なんです」

皆で連携して一つのうちわを作っていて、手間暇かかっているんだと、岡崎さんは熱く語ります。

持ち手は丸い細みの竹で、手にしっとりと馴染む心地よさ。窓という、うちわの柄と紙の間の空間には繊細な竹の枠が絶妙なひねりが特徴的です。

窓の上部、紙との境目は、濃い青の紐で縁取られていました。この紐は、職人のおばあちゃんが一目一目結んでいると聞きます。小さいころから家業としてお手伝いをして、職人へと成長していくのだそうです。

一方、最近「TOKYO UCHIWA」に加えられた越生うちわのほうは、四角い扇の部分に平たい木の柄がついている、ちょっと武骨なイメージ。送られる風には勢いがあり、扇いでもらうと一気に涼しくなります。

もともと、埼玉名物のウナギを焼く際に使われることもあったため、「パタパタ」と強い風を送るうちわが重宝された背景があるもの。本来は渋皮で染められた紙で作られることも多いのですが、「TOKYO UCHIWA」ではおしゃれな柄に生まれ変わっています。

丈夫に作るために、ひらたい持ち手の部分と扇の部分は一文字と言って、一直線に張り合わされています。こちらは現在1軒しか職人さんが残されていない状況だそう。

どちらのうちわも数少なくなった伝統的な職人たちの技の上に成り立つもの。「TOKYO UCHIWA」を通して、そうした職人さんや文化を守っているのですね。

「TOKYO UCHIWA」の話をしながらも、時折私を扇いでくれる岡崎さんの手からうちわの風が送られてきます。なんだか懐かしい、子どものころのような安心感を感じます。人に扇いでもらうのが心地よいものだとは、ずいぶん忘れていました。

岡崎さん:「同じ扇ぐ物でも、扇子は一人用ですが、うちわは人と共有することでコミュニケーションが生まれます」

一緒にいる人に風を送りたくなるのは、うちわの最大の魅力です。さらに、うちわの風は、相手に合わせて手で風量を調整できる優しさもあります。一人分ではなく、誰かの分の風も作れる、人とのかかわりを生む道具なんですね。

その時々でおいてある商品が変わり、ほとんど一点ものうちわということで、お店を覗きにいくのも楽しみになります。通ううちに自分だけの「マイうちわ」が見つかるかも。

 

うちわ作りの伝統を守る気持ちと、お店のハンカチ生地を大切にしたいという想いがかさなって生まれたのが「TOKYO UCHIWA」。特別なうちわで扇いでもらって、心地よいひと時を過ごしました。少し歩くだけでも汗が出る季節。おしゃれなうちわで風を共有しながら、三宿の商店街を誰かと歩くのもいいなと思い、お店を後にしました。

H TOKYO 三宿店

住所:東京都世田谷区太子堂1-1-11
電話:03-3487-4883
時間:12:00-20:00
定休日:年末
アクセス:田園都市線、世田谷線・三軒茶屋駅 南口徒歩15分
田園都市線 池尻大橋駅 南口徒歩15分
渋谷駅西口ターミナルより(渋31、32、33、34系統)「三宿」下車徒歩約2分
http://www.tokyo-uchiwa.jp/
http://htokyo.com

ライター

東京都生まれ。休日は近場の町探検へでかけます。気になった喫茶店にふらっと入り一息つくのが至福の時。出かけた先でお土産におやつを買うのが楽しみ。

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