30歳、2017年夏 ― 荒川で花火を上げる

幾つになっても、花火を手にすると子どものようにはしゃいでしまう自分を知った今年の夏。火薬のつまった細い筒から飛び散るカラフルな火花と煙の匂いが、私の中の好奇心と高揚感にも火をつけます。

友達と学校の校庭や家の庭で花火をした小学生の夏休み。導火線に点火した瞬間のドキドキ、ワクワクする気持ちと、友達の顔を照らす火花の明るさは今も色褪せることなく夏の思い出として残っています。

大人になってからは浴衣を着て花火大会に行くことはあっても、手持ち花火をすることはほとんどありませんでした。それではやってみようかと、編集部で花火をすることに。夏の時季に花火専門店として様々な花火を取り扱う浅草橋の「長谷川商店」に訪れました。最近の花火はどんな種類があるのでしょうか。

かつては「素人お断り」の卸売専門の問屋街が並ぶ浅草橋の店々も、今では小売をすることが一般的になりました。昭和22年創業の「長谷川商店。」当時は卸専門だったそうですが、おもちゃ屋が街から姿を消し、時代の流れに従って今では小売をメインにした商品を揃えています。

奥行きのある店内の両側には、手持ち花火や打ち上げ花火、噴出花火など約500種類もの花火が天井近くまでずらりと並びます。コンビニやスーパーで見かけるまとめ売りのバラエティーパックも販売していますが、ここに来たら、やっぱり一つ一つ選びたい気持ちに駆られます。

西の線香花火 スボ手牡丹 400円

かわいいクジラ型の噴出花火や、木の箱に納められた高級そうな線香花火、曲線を描くように持ち手に切り込みの入った手持ち花火。あれこれ手にとって興味津々眺めていると、花火の裏側に「音の大きさ」と書かれた表示を見つけました。

吹き上がる 鯨花火 430円

線香花火 花々 9,000円

龍はなび 380円

3代目店長の長谷川公章さんに聞いてみると、この表示は長谷川商店が提案する花火の音量マークで、「小さめ」「普通」「派手」の3段階で表示されています。

長谷川さん:「最近は花火ができる場所が限られてきていて、河川敷などでも、音が大きいと近所迷惑だと言われてしまうこともあります。だから花火の音の大きさを測ってマークにしたんです。こうすると選びやすいでしょう」

確かに、このマークを見れば音の大きさや規模をイメージしやすいので、選ぶ際の指標になりそうです。

それでも500種類の中から希望に合ったものを選び出すのは一苦労。あれも気になる、これもやってみたい、となかなか決められません。

長谷川さん:「予算と花火をやる人数、年齢層を教えてもらえれば、アドバイスできますよ」

25歳の時に、先代のお父様からお店を継いだ長谷川さんをはじめ、お店で働くスタッフのほとんどが「花火コーディネーター」として、お客さんの要望に合った花火を組み合わせてくれます。

打ち上げ花火や噴出花火は、「派手さ」を重視するか、長い時間楽しめる「持ち」を重視するかで選ぶ種類が変わってくると長谷川さんは言います。噴出花火では1メートルから5メートルの高さまで噴き上がるものがあり、打ち上げ花火も10メートルから30メートルまで打ち上がるものまで様々。組み合わせれば本格的な花火大会が楽しめそうです。

ここ長谷川商店では、学校行事や子ども会などの自治体でのイベント企画用に「ミニ花火大会コーディーネート」も請け負ってくます。点火する順番や花火を置く配置まで詳細なプログラムを作ってくれます。

長谷川さん:「企画側のお父さんたちも、子どもたちが喜んでくれるものになるかどうか不安を抱えて相談に来ますが、帰るときにはお父さんたちも子どものような笑顔になって『楽しみです』と帰っていくんです」

1シーズンで1700団体もの依頼を受ける長谷川商店では「どんな花火大会にしたい」という要望を伝えると的確なアドバイスが返って来ます。

大人だけの男女4人で予算は5,000円くらい。そう伝えると、長谷川さんはテキパキと花火をカゴに入れていってくれました。男性にやってもらいたいと入れてくれた機関銃花火、4メートルの高さまで噴き上がる噴出花火、フィナーレ向けの派手な打ち上げ花火、香り付きの手持ち花火…レジ前にたくさんの商品が並びます。

長谷川さんのオススメ花火を袋いっぱいに詰め込んで、意気揚々と仕事帰りの編集部メンバーと荒川河川敷へ向かいます。

暗闇の中、花火を広げると途端にはしゃぎ出す編集部。点火するにも花火の火を分け合うにも、終始大興奮です。聖火ランナーのように走り出す人、魔法の杖とでも言わんばかりに花火片手にくるりと回転する人。機関銃花火を持つとどうしてもしたくなる乱射パフォーマンス。ああ、みんな大人ぶった子どもだったんだなぁとしみじみ感じます。

吹き上がる 鯨花火 430円

鯨 三次噴出 180円

線香花火 259円

本格縄巻き 大筒 400円

カラフル15 150円

回転遊戯 2本入り 400円

たこおどり 200円

ダ・ダ・ダ・マシンガン 500円

碧火 490円

神火 560円

狂炎 200円

ミックスぶんぶん蜂 180円、ピカピカ3変色 180円

粋 1本30円

締めはやっぱり線香花火。控えめに咲く火花と、ぽとりと地面に落ちる火の玉の儚さは大人になった今だからこそわかる雅やかな美しさです。夜の暗闇に広がるカラフルな火花は、童心に返った良き夏の思い出として、私たちの目に焼きついたのでした。

長谷川商店

東京都台東区柳橋2-7-3
TEL:03-3851-0151
営業時間:10:00-18:00頃
アクセス:JR総武線 浅草橋駅東口下車 徒歩5分、都営浅草線 浅草橋駅A6番出口 徒歩1分
http://www.21hasegawa.jp/index.html

金額など掲載の情報は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

WRITER

編集者・ライター

気になるコラム