【scene 06 ― 雨の東京ウィークエンド】東京で「雨に唄えば」 雨の日に見たいhaletto名画館

東京はきょうも雨。皆さんはどんな風に過ごしていますか? きっと自宅で過ごしたくなる人も多いでしょう。雨の音に耳を済ませながら、まったりとした時間にうってつけなのが、そう、映画です。

今回は、吉祥寺にオープン予定の話題の映画館「ココロヲ・動かす・映画館◯」の社長兼総支配人樋口義男さんと同社の営業制作部村松奈保さんと「雨の日に観たい映画」をテーマに対談しました。

haletto編集部鈴木:「雨の日には、どんな映画がぴったりだと思いますか?」

社長兼総支配人樋口さん:「どんな気分になりたいか、ということが、映画を選ぶ時の基準になると思います。雨の日ということで、ちょっとブルーな気分を吹き飛ばしたいならコメディやファンタジーを、反対に、とことんブルーに浸りたいならミステリーや悲劇をチョイスするといいのではないでしょうか」

鈴木:「では、樋口さんなら、どのような映画を選びますか?」

樋口さん:「僕は、雨の日はちょっとノスタルジックに過ごすのが好きです(笑)。昔の出来事をふっと思い出させるような映画を観たくなることが多いですね。例えば、台湾の青春映画『あの頃、君を追いかけた』(2011 年、監督:ギデンズ・コー)はおすすめです。劣等生の男子高校生が、優等生の女の子に次第に惹かれていく様子を描いたラブストーリーですが、彼のもどかしい気持ちが伝わってきて、本当に切ない。主人公と青春時代の自分の姿を重ね合わせ、共感する人は多いでしょう」

営業制作部村松さん:「台湾や香港の映画には、独特な“湿っぽさ”があっていいですね。あの空気感は、他国の作品にはなかなかないものですし、雨の日に合うと思います」

鈴木:「村松さんのおすすめの作品は?」

村松さん:「邦画になるのですが、『生きる』(1952 年、監督:黒澤明)がおすすめです。重病に犯され、命が長くないことを医師から宣告された役所勤めの男性の姿を描いたヒューマンドラマで、結局人間って、そう簡単には変わらないよな~という、「現実」を、美化せずガツン!とつきつけてくるところが、絶望的でもあり、ショックでもあり…。残された時間を精一杯生きようとする主人公の姿が情緒豊かに描かれているだけでなく、人間の“本性”のようなものが浮きぼりにされている作品です。その“本性”を知った時、うちのめされてしまう人も多いと思います。主人公が悲しみにくれる、ジャケットにも使われている名シーン、雨の中ブランコに乗って、「命短し恋せよ乙女」を泣きながら唄う場面は観ている私もブルーになりました」

鈴木:「時にはとことんブルーな気分に浸るというのも、ありですよね。落ち込むことで、気持ちのどこかがリセットされると思います。ザーッと雨が降った後は、きれいな青空が出ることが多いですが、気持ちの面でも同じことが起きるというか」

村松さん:「あとは、あまり内容がないB級映画をぼんやりと観るのも結構好きですね。このムダ感最高!って、不思議と満足することが多いです(笑)。そういう過ごし方は、雨の日にだけ与えられる“特権”のような気がします」

鈴木:「ちょっとブルーな、どんよりした気分を吹き飛ばしたい時に、おすすめな映画はありますか? やはりディズニー作品などでしょうか?」

村松さん:「ディズニー作品はアニメーションもかわいいし、作中に歌もたくさん盛り込まれているので、誰もが楽しめますよね。つまらないと感じることが少ないので、安心して観られるというか」

鈴木:「僕も、ディズニー作品は割とよく観ます。例えば、『メリー・ポピンズ』(1964 年、ウォルトディズニー)は古い作品ですが、ハッピーな作風で特に好きですね。主人公のメリーが傘を使って空を飛ぶシーンをはじめとして、ユニークなシーンがたくさん出てくるのですごく楽しい気分になれます。印象的な雨のシーンがあるわけではありませんが、傘がキーアイテムのように使われている作品なので、雨の日に観たくなります」

樋口さん:「『マイ ビューティフル ガーデン』(2016 年、監督:サイモン・アバウド)も、ディズニー作品のような分かりやすいハッピーストーリーではありませんが、おすすめですよ」

鈴木:「どのような内容の作品ですか?」

樋口さん:「とても不器用な女の子が、隣人の“頑固オヤジ”との交流を通し、次第に自分の殻を破っていく姿を描いた作品です。その“頑固オヤジ”は草花やガーデニングが大好きで、並々ならぬこだわりを持っているのですが、反対に女の子は草花をはじめとする生き物が大嫌い。そんな正反対な二人が“ガーデニング”を通して心を通わせていく様子は、見ていて心が温まります」

村松さん:「雨が降るシーンもありましたね。雨が突然降り出してきて、思わず嫌な気分になる主人公の女の子に対し、その“頑固オヤジ”が、雨が降ることの大切さを説くんです。その時の言葉が、とても印象的で心に残りました」

樋口さん:「雨は人生に置き換えると、辛い出来事や嫌な出来事。けれども、自然において雨が必要なものであるのと同様、辛い出来事を経験することも、人生には必要なのだということを教えてくれるんです」

鈴木:「ステキな作品ですね。まさに雨の日に観たくなる映画だと思いました。ありがとうございました」

【haletto 名画館】

① 『雨に唄えば』(1952) 監督:ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン

雨の中で踊るジーン・ケリーのダンスは圧巻。

引用元:amazon.co.jp

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② 『メリー・ポピンズ』(1964) 監督:ロバート・スティーヴンソン

スキップしたくなるのは、メリー・ポピンズから教えてもらった。

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③ 『海の上のピアニスト』(1998) 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ

ポツポツ降る雨は、誰かが鍵盤をたたいているかのよう。

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④ 『転々』(2007)監督:三木 聡

雨が上がったら、東京の街を散歩しよう。

引用元:amazon.co.jp

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⑤ 『マイ ビューティフル ガーデン』(2016) 監督:サイモン・アバウド

降り止まない雨のその先には、晴れた日と、成長した自分がいるはず。

マイ ビューティフル ガーデン© This Beautiful Fantastic UK Ltd 2016 2017年4月よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー 提供・配給:ココロヲ・動かす・映画社 ○

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⑥ 『生きる』(1952) 監督:黒澤 明

時には、どうしようもなく打ちのめされてみる。

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⑦ 『あの頃、君を追いかけた』(2011)監督:ギデンズ・コー

思わず、雨のような涙で心が潤います。

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⑧ 『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)監督:ソフィア・コッポラ

さぁ、TOKYO へでかけよう。

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⑨ 『レインマン』(1988)監督:バリー・レヴィンソン

雨が降ると、レインマンが来て楽しい歌を歌ってくれる。

引用元:amazon.co.jp

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⑩ 『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(1997)監督:トーマス・ジャン

天国ではみんな海の話をするんだって。

引用元:amazon.co.jp

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さまざまな切り口で考えた「雨の日に観たい映画」。あなたのお気に入りの作品は見つかりましたか? 雨の日。言い換えれば映画をゆっくりと観る絶好の機会です。また、観る映画の内容によって、心はあらゆる方向に傾くもの。次の雨の休日は、「どんな気分に浸りたいか」という視点で、作品を選んでみてはいかがでしょうか。 思わぬ良作との出会いがあるかもしれません。

ココロヲ・動かす・映画館◯

武蔵野市吉祥寺本町1-8-15
TEL:0422-27-2472
https://www.cocomaru.net/

この特集について

雨の東京ウィークエンド

毎日、雨の日が続きます。雨は夏前の潤いの源。5月の爽快さはありませんが目を閉じて耳を澄ませば、ぽつぽつと街を打つ雨音が心地よく聴こえます。 カフェの庭で雨を感じる。洗濯をしにランドリーに行く。心を静かに整えて、音楽を聴く。紫陽花を見つめ...

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