Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】Vol.4

今回紹介したい1冊は「このあと どうしちゃおう」(作:ヨシタケシンスケ 出版:ブロンズ新社)です。

この絵本の作者ヨシタケシンスケさんは、出版する絵本がそのたびに、人気となりメディアに引っ張りだこ。

「このあと どうしちゃおう」は2016年4月に出版されました。私がなぜこの絵本をご紹介したいかといいますと、今まで見たことのないタイプの絵本だからです。

ストーリーは、死んだおじいちゃんがの部屋から「このあと どうしちゃおう」と書かれたノートが出てきて、「自分が将来死んだらどうなりたいか、どうしたいか」といういわゆる遺書、エンディングノートを一緒に読み進めていくというものです。

「死」をテーマしています。「死」について描かれた絵本は他にも存在しますが、悲しみがつきもので何か読んだあとに感じるものは切ないものが多いものででした。また、絵本として子どもに「死」について描くこと、伝えることの難しきや。しかし、この絵本は「死」をテーマしているのにも関わらず、ニヤニヤしたり、クスッと笑ってしまったり、ヨシタケワールドが前面に表れていてびっくりします。

「死」への恐怖感は誰にでもあるもの、でも普段生活で、「死」について考えることってそうありません。「死」に直面した時に、「こうすればよかった、もっとこうしてあげればよかった」「このあとこうしてほしい」そんな中で、「死んだあとってどうなるんだろう」「死ぬ前に自分の人生のやり残したことはないかい」そう呼びかけてくれる絵本って今まで存在したでしょうか。

この絵本は、大人がふと立ち止まって読んでみるべき絵本だと思っています。私は実家が福島で、東日本大震災があった時に死を身近に感じ、この絵本を通して亡くなった祖父母の事を思い出し、「死んだあとってどうしているんだろう」と考えました。

決して楽観的に「死」について考えるのではなく、「死」は誰にでもいずれ訪れるものだから、その事実を受け止める準備ができるきっかけとなる1冊になると思います。私はこの短い絵本の中にこんなにも凝縮して「死」についての考え方を変えることができる絵本があるのであれば、子どもだけが読むのではもったいないと思うのです。

「まだ死について考えるのは早すぎる」という考えから、「今だからこそ死について一度考えてみよう」と立ち止まれる、そんな絵本だと思います。

そんな絵本をMucchi’s Caféのカウンター席で人目をはばからず、時にニヤニヤと笑って読んでみたり、ホロホロと感情のままに泣いてみたりしてみませんか。そんな大人のみなさん、大歓迎しております。

このあと どうしちゃおう

作:ヨシタケシンスケ
出版:ブロンズ新社

福島県出身。元保育士、夢の国の住人を経て現在、高円寺にある「絵本カフェ ムッチーズカフェ」の店長として、オーナーむっちと共同経営中。絵本専門士として、店内に置く絵本を選書しています。口癖は「ご縁って大事よね~」。ゆでたまごが好き。お店のTwitter の中の人。

このコラムについて

Mucchi’s Caféの【おとなの絵本教室】

絵本にはいろいろな魅力があります。よく考えてみると怖い話から、ほんとに人生に役立つ良い話まで。忘れた気持ちを思い出さしてくれる、おとなのための絵本を紹介します。

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