海の向こうから来た愛しい文房具に出会う ー 本郷三丁目【SCOS】

オフィスで働く人の中には、一日の大半をデスクワークに費やす人も多いでしょう。ライターとして仕事をする私も、丸一日PCに向かっていることがよくあります。上手に気分転換をする方法がないかしら?と考えていたところ、思いついたのが「デスクに自分好みのものを置いてみる」というアイディア。ボールペンやノートといった、すでにデスクにある文房具を自分好みのものにしたらどうだろう。

今回訪れたのは、本郷三丁目にある文房具店「SCOS」。この文房具店には、フランスやドイツをはじめとするヨーロッパ諸国から輸入された品々が置かれているようです。

見たこともない珍しい文具を、次々と発見

本郷三丁目といえば、東京大学の本郷キャンパスがあることでも知られています。今回目指す「SCOS」があるのは、本郷キャンパスのほど近く。東京メトロ・本郷三丁目駅の改札を出てキャンパス方面に向かって歩いていくと、東京大学の学生と思われる若者グループと何度かすれ違います。

キャンパスの手前の路地を折れてさらに歩くと、オレンジ色の建物が見えてきました。ファンシーで可愛らしいこの建物が「SCOS」です。どことなく個性を感じる外観に、ワクワク感が高まります。

扉を開けると、そこは色とりどりの文房具でいっぱい。ぐるりと見渡しただけでも、今まで見たことのない珍しい文房具が次々と目に入ります。

ポップに飾り立てられた店内に身を置いているだけで、だんだんと楽しい気分になってきます。こんなにユニークな雰囲気の文房具店は、日本中のどこを探してもほかに見つからないのではないでしょうか。

他の文具店では出会えない海外の雑貨たち

番号がふられ、キリトリ線のついたこちらのロール。何のために使用されるのかわからなかったものの、製品の横にあるポップを読むと、ドイツ製の「バウチャー・ロール(食べ物券)」であることが判明。海外のフードスタンドなどで実際に使用されている“整理券”のようです。

ポップには店主さんによる「ラッピングに使用してもかわいいです」というコメントもありました。こんなにもユニークなテープを使えば、オリジナリティあふれるラッピングが完成しそうです。例えば、可愛らしい小箱にリボンのようにして巻いたり、好きな長さにカットして色紙やアルバムに飾りつけたりしたら面白そう。

ドイツは日本に負けず劣らずの「文房具大国」。「SCOS」の店内では他にもさまざまなドイツ製の文房具が見つかりましたが、使い勝手が良さそうで、見た目もユニークなものばかりでした。

スウェーデンから輸入されたこちらのレターセットは、ヨーロッパの空気が感じられるかわいらしいデザイン。手にとって眺めていると、スウェーデンに暮らす人が手紙を書く様子が目に浮かんできます。

右の袋は、スウェーデンでお金を運ぶ際に用いられていたそう。店主さんが「とにかくおもしろかったので買ってきました。」というこの袋。海の向こうから、そのまま持ち帰られた現地の空気にあふれたこのお店。文化の違いが感じられるアイテムがあるのも、「SCOS」の面白さであり、魅力の一つです。

日本では当たり前の文具にも各国のおもしろさが

お店を一通り見回したところで、お気に入りの文房具を探していきます。

使用頻度の高いボールペンを物色したところ、使い勝手の良さそうな一品を見つけました。

こちらは「Schneider」というドイツのメーカーのボールペン。試し書きをして驚いたのですが、ペンの滑りがものすごくいいんです! 「こんなに書き心地のいいボールペン、使ったことがない!」と驚きました。力をほとんど入れなくてもスルスルと文字が書けるので、長時間の手書き作業をしても手首が疲れないはず。取材中、お話を聞きながら内容をノートに走り書きすることが多いので、重宝しそうです。

ドイツの子どもは鉛筆よりも、万年筆やボールペンを多用する文化があるそうです。使用頻度の高いボールペンだからこそ、他国のものよりも秀でた使いやすさを実現したのでしょう。

ボールペンといえば、どこの国でも使われているごく一般的なもの。そんな当たり前の品でも、改めて手に取ってじっくりと眺め、さらには生産元の国の特色や文化、背景を知ることで、新しい発見がありました。

こちらはポーランド製のボールペンを立てることのできる付箋。かわいいりんご型に、思わずきゅんとしてしまいました。

付箋とペンを一体化させて、スペースの省略を図るこの文房具は、かわいいだけではない、優れもの。ふいに電話がかかってきて「メモをとらなくちゃ」と思ったものの、手元に書けるものがなくて焦ったことはありませんか?デスクにこのペン一体型の付箋を置いておけば、そんなシーンもなくなりそうです。

“文房具ファンの小さな輪”からはじまった「SCOS」

他では手に入りそうもない文房具がそろったこのお店。

店主の寺村栄次さんは、根っからの文房具好き。「これまでに見たことのない文房具に出会いたい」。国内メーカーからリリースされる文房具では飽き足らず、やがて奥様の浅井良子さんと一緒に文房具探しをするためヨーロッパ諸国を旅するようになりました。「現地では、ひたすら文房具屋を見てまわりましたね」

気に入った文房具を購入し、日本に持ち帰るという作業を繰り返すうちに、そのコレクション数はかなりのものに。思いつきで、ある音楽雑誌に小さく「ヨーロッパの文房具売ります」と広告を出したところ、4、5名ほどから購入希望との連絡がありました。「まさか本当に売れると思っていなかったので、驚きました。それに自分たちが選んだ文房具を気に入ってくれる人がいたことが、すごく嬉しかったんです」

文房具を購入してくれた人に手作りのカタログを送るなど、地道な働きかけをするうちに、問い合わせの連絡が増えていきました。手ごたえを感じたこともあり、念願だった文房具のお店をオープン。「SCOS」という店名は、「a small circle of stationery」の頭文字をとったもので、「小さな文房具の輪の広がり」を意味しています。「ヨーロッパの文房具ファンの輪がだんだんと広がったことで、このお店をオープンすることができました。『SCOS』の原点をあらわしている店名です」

寺村さんと浅井さんは、「文房具と旅」をテーマにした書籍の執筆・編集を担当された経験もあります。『文房具と旅をしよう』と題されて出版されたこの書籍では、ヨーロッパ諸国の町の風景や旅をするなかで体験したエピソード、そして出会った数々の文房具が紹介されています。

異国の空気感がたっぷりと詰まった一冊で、ページをめくるうちにまるで旅をしているかのような気分に。また、お二人の文房具にかける思いや愛着が伝わってきます。

“文房具”という枠組みを飛び越えた品々がありました

現代は、仕事の多くがパソコン上で完結する時代。それに伴って、文房具の使用頻度が減ってきているのは事実です。けれども、「SCOS」にある文房具は、「いつも目の届くところに置いておきたい」と思わせるものばかり。独特のデザインを色濃くまとっていることが、そう思わせる理由なのでしょう。また、「SCOS」では良質で使い勝手のいいドイツ製の文房具も多くそろいます。文房具の“目利き”である寺村さんならではのラインナップと言えるでしょう。それぞれの文房具について、生き生きとした表情で説明される寺村さん。各国の特性や性格からできた文房具を知ることで、日本では当たり前だと感じていたことがそうではないことに気付かされました。

例えば長時間のデスクワーク中、ふと「SCOS」の文房具に目を移せば、きっとその国の風景が頭の中に浮かぶはず。遠くの街並みや人々の暮らしを想像することは楽しいのと同時に、小さなリフレッシュにもなります。

「SCOS」は文房具ファンや、海外の雑貨が好きな人にとって、特別な場所になることは間違いありません。そこにある文房具たちは、デスク周りに華やぎを与えるだけでなく、オフィスで過ごす時間にうるおいをもたらしてくれます。“文房具”という枠組みを大きく飛び越えた品々が、ここにはありました。

SCOS

住所 東京都文京区本郷五丁目1番5号

電話番号 03-3814-7961

営業時間 ※13:00~14:00まではお昼休み。HP上のカレンダー参照

定休日 不定休

http://www.scos.gr.jp/open.htm

ライター

千葉県生まれ。食べ歩きとお酒、島巡りが好きです。ワインと日本酒の奥深さに感動し最近スクールに足を運んだりするようになりました。

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