抹茶を楽しむ - 老舗で味わう新しい発見 「寿月堂 銀座 歌舞伎座店」

歌舞伎座の背後に立つモダンな高層ビル、歌舞伎座タワーは東京メトロ・東銀座駅に直結しています。

ここはオフィスとしての機能以外にもレストラン、カフェや歌舞伎関連のお土産物屋さんも充実した商業施設。建物の中に足を踏み入れると、歌舞伎の観劇や観光客などで平日の昼間にもかかわらず賑わっていました。

人の間をすり抜けるようにしてエレベーターホールに向かい、「寿月堂」のある5階へ。エレベーターが上昇するにつれて人の喧騒が遠のき、代わりに静けさが濃くなっていくのを感じます。

5階に降り立つと、真っ先に目に飛び込んできたのが隣接する日本庭園です。

玉砂利の中無造作に置かれた飛び石と、どっしり鎮座する石灯籠。植木の根元を苔がふかふかと覆っています。よく手入れされて美しいばかりでなく、日本庭園ならではの趣深さが感じられ、思わずその場に立ち止まり見入ってしまいました。慌ただしい都会の日常生活の中では日本庭園に触れる機会はなかなかないもの。不意に現れた美しい庭園に、私と同じように心動かされたのか、携帯のカメラ片手に見入っている人の姿がありました。

フロアの突き当たり、竹で装飾されたお店らしきものが見えます。

どうやらこちらが、今回目指す「寿月堂」のようです。エレベーターホールからは視界に入りづらい場所にあるため、はじめて訪れる人は気がつかないかもしれません。都会の喧騒から離れた、隠れ家喫茶といったところでしょうか。

近づいてみると威風堂々とした、高級感ある店構え。その場にあるものを柔らかく照らす控えめな照明や、上品な内装などがそのような印象を作り出す理由でしょう。格式の高さを感じさせますが、外から様子を伺える店内をのぞくと、とても開放感ある造りになっていることがわかります。

竹という自然物が基調になっていることもあってか、リラックスして過ごせそう、と期待が大きくなっていきます。

店内にはカウンタースペースや4名掛けのテーブル席、そして個室まで用意されています。カウンタースペースには茶器も設置されており、目の前で点てられた抹茶をいただくことができます。

カウンターにすわり、鮮やかな手つきで抹茶が点てられる様子を眺めていると、だんだんと心が穏やかになっていきます。情緒ある空間に身を置き、奥深い日本文化に触れ時間は、まさに贅沢なひとときです。日本人に生まれてよかった、としみじみと感じた瞬間でした。

丁寧に点てられた抹茶は、香り高く上品な味わい。苦さはほどよく感じられる程度なため、抹茶ははじめて、という人もきっとおいしくいただけるでしょう。

お店のおすすめメニューは「抹茶パフェ」。

抹茶が使われたソフトクリーム、抹茶寒天、グラノーラ、餡などが盛り込まれています。甘すぎず、そして程よい苦味があり絶品! 口に入れた瞬間にすっと溶けるソフトクリームと、グラノーラのザクザクとした感触もたまりません。これぞ、舌の肥えた大人も満足させるスイーツといえるでしょう。

格式ある空間で上品な味わいのスイーツを楽しむ時間は、これまであまり経験したことがないもの。気持ちが自ずと高まるのと同時に、銀座という“大人の街”で過ごすことの醍醐味を感じました。

美味しい抹茶とパフェを堪能した後、「寿月堂 銀座 歌舞伎座店」の副店長を務める富永さんに、お店の普段の様子やサービスの内容などを詳しくおうかがいすることができました。

「寿月堂」というブランドが「丸山海苔店」で考案され、そして記念すべき一号店が築地にオープンしたのは、今から14年前の2003年のこと。続いてお店が開かれた場所は日本国内ではなく、フランス・パリでした。「当時の社長(現在は会長)は、『高品質の海苔を海外の方にももっと知っていただきたい』という想いを強く持つ人。そのため、世界の文化の発信地でもあるパリを、海外初出店の場所として選んだと聞いています」

とはいえ、海苔というと、海外の人々にとってはあまり馴染みのない食品です。海苔を自然な形で受け入れてもらうにはどうしたらいいか考えた結果、日本茶ブランド「寿月堂」を立ち上げ、お茶とともに海苔を売り出すことに決めました。こちらの『寿月堂 銀座 歌舞伎座店』でも、最高級のお茶や海苔を直接購入することができます。」

「当店のスタンスとして、カジュアルすぎないことも心がけています。オープン以来、ハイエンドのお客様を対象にしたお店を目指してきました。一定の水準以上のサービスに価値を見出してくれた方々にむけて、手厚くもてなすことをモットーとしています」

「寿月堂」のサービスに共感したお客様には、画一的なサービスはしない。新しく、新鮮なサービスを提供できるよう努力を重ねていく。そんな心意気から、「老舗は常に新しい」という「丸山海苔店」のコンセプトの真髄を感じとることができました。

実際、スタッフの方々の接客や身のこなしはとても丁寧。その反面、お客さんに接する際の口ぶりは固すぎず、程よいフレンドリーさを感じさせます。礼儀と思いやりの両方を兼ね備えた、「バランスのとれた接客」という印象を受けました。

「寿月堂」には、他の喫茶店では見られないようなユニークなサービスが。「お茶を淹れた後の玉露は、まるでほうれん草のおひたしのような食感で意外なほど美味しいんですよ。飲んだ時と食べた時とでは、玉露は味わいなども全く異なります。そのため、ご希望があった場合ですが、お客様に茶葉を召し上がっていただくこともあります」
この考えた方には驚きでした。次回はぜひ玉露茶葉を食べてみたいです。ビタミンやミネラルが豊富な玉露を直接いただくのは体にも良さそうですよね。

歌舞伎座タワーに、「寿月堂」がオープンしたのは今から4年ほど前。この建物を新店舗オープンの場所に選んだ経緯にも「寿月堂らしい」理由がありました。「歌舞伎座タワーの5階には歌舞伎についての展示を見ることのできる『歌舞伎座ギャラリー』があります。歌舞伎座ギャラリーと寿月堂、そして屋外の日本庭園は、『三位一体』になることができると考えました。つまり、3つの施設が同じスペースにあることで、この5階という空間が完成されるのではないかと」

歌舞伎座ギャラリーと寿月堂、日本庭園があることで、5階に訪れた人の行動には一連の流れが生まれます。ギャラリーを鑑賞したその足で寿月堂を訪れ、おいしいお茶やスイーツを楽しんだ帰り、日本庭園に立ち寄るというもの。人の自然な欲求ですよね。実際、「寿月堂」がオープンすると、5階を訪れた人の多くがそれぞれの施設を楽しまれていくようです。

「寿月堂」を訪れるのは、老若男女幅広く、外国人のお客様も多数。歌舞伎座タワーに訪れる人の多くが、日本の文化、伝統や歌舞伎に親しんでいるという背景を考えれば当然のことかもしれません。富永さんは「敷居が高いと思わず、若い世代の人にも、型に固執しない『寿月堂』のサービスを体感してほしい」と言います。

竹で演出されたシックな内装に、目の前で点てられるお茶、そして老舗らしい丁寧で温かい接客など。この空間には、非日常の要素がちりばめられています。普段、スピードや価格の手頃さを追求したお店に慣れた私には、どれもが新鮮なものとして映りました。

「寿月堂」。日本文化の素晴らしさと奥深さを思い出すのと同時に、“最高級の新しい接客”に触れることができました。非日常の体験を求める人はもちろん、洗練された“大人の女性”を目指す人にこそ、足を運んでほしいお店です。「老舗は常に新しい」。この言葉をぜひ、体感してください。銀座にひとつ、行きつけの隠れ家が見つかるかもしれません。

寿月堂 銀座 歌舞伎座店

東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー5階

TEL 03-6278-7626

営業時間

ショップスペース 10:00-19:00(年中無休)

喫茶スペース 10:00-19:00(ラストオーダー18:30)

http://maruyamanori.net/sp/kabuki-za/store/

ライター

千葉県生まれ。食べ歩きとお酒、島巡りが好きです。ワインと日本酒の奥深さに感動し最近スクールに足を運んだりするようになりました。

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