【scene 07-旅する東京ライフ】下町、やさしい朝食と陽だまりの朝 「HAGISO」「めぐりん」「ペリカン」

朝です。7時に目が覚めると、年季を感じさせる梁見せ天井がまず視界にはいってきました。ああ、そういえば昨夜は「hanare」に泊まったんだった、と思い出す私。仕事柄、デスクでパソコンとにらめっこしていることが多い分、昨日はよく歩いたな、と振り返ってみます。不思議と疲れは残っていません。まだまだ私も若いってことだ、と自分を褒めつつ身支度を始めました。

宿泊棟にはテレビがありません。テレビの音がない静かな朝は、窓の外から聞こえてくる鳥の鳴き声や挨拶を交わすご近所さん同士の声、すりガラスの窓から差し込む明るい陽射しにまぶしさを感じたり、五感を研ぎ澄ますことができるし、「ぐぅ」と空腹を主張する自分の体の声にも正直になれちゃうのが新鮮。

朝ごはんはHAGISOの一階にあるカフェでいただきます。ここでは季節替わりの「旅する朝食」メニューを提供していて、3~6月は佐賀県の食材を使った朝ごはんプレートをいただけます。この週末で東京都内を旅する私にとって「旅する朝食」とはなんて粋な巡りあわせなのかな、と思います。

席についてぐるりと見渡すと、朝のコーヒーを飲んでくつろぐ女性と年配のおじさんの姿が。まだ谷中のお店が開店する前のこの時間に来ているということはご近所さんなのかも。こんな素敵なカフェが近くにあるなんてうらやましいな。

今日はどこに行こうかとぼんやり考えていたら、木のトレーに乗った出来立てほかほかの朝ごはんが運ばれてきました。ごはんにお味噌汁、中央に置かれた白い角皿には、野菜を中心にした健康的なおかずが4種類。まずはお味噌汁を一口。玉ねぎと万能ねぎのシンプルな具で、ほんのり甘い味噌が寝起きの胃袋を刺激します。

HAGISOの一階にあるカフェでの「旅する朝食」

バターでソテーして醤油で甘辛く味付けたレンコンや、色鮮やかなアスパラガス、佐賀のありた鶏の煮物。どれも優しい味付けでとっても家庭的です。どんな人が作っているのかとキッチンを覗いてみると40代くらいの女性が一人でテキパキと料理を作ってました。

「この辺に住んでる方ですか?」と声をかけると、にこやかに「そう、近所の主婦です」と笑顔が返ってきました。まぎれもない「お母さん」が作っているからこその家庭的なこの味付けに、なるほどと納得。朝ごはん用の食材として佐賀から届くものは何が来るかは毎回決まっておらず、その時々で一番おいしい旬の素材が箱に詰められて届くのだとか。

毎回箱を開けて、店長が何を作るか献立を立てているそうで、野菜が詰まった箱について「びっくり箱みたいで楽しいのよ」と目をきらきら輝かせて話してくれました。

「ご馳走様でした」とHAGISOのお母さんに、あいさつをして二日目の旅に出発!

ここからは「東西めぐりん」というバスに乗って移動することにしました。「めぐりん」は台東区内を循環するコミュニティバスで、車両によって多少変わり、25~30人ほどが定員という小型タイプのバスなのです。

ちょっとレトロな雰囲気のかわいらしいバスに、「12番・谷中銀座よみせ通り」から乗りこんで、バスの窓から街並みを眺めてみると、犬を散歩させている近所の人や、観光客らしい女の子の姿が目に入ってきました。

さあ、今日はまだ始まったばかり。今日も1日、良い日になりますように、なんて考えながらバスに揺られていると、特別な感じがして楽しくなってくるから不思議です。

「台東区役所」で南めぐりんに乗り換えて、の「15番・田原町」で降ります。ここから徒歩2分の場所に目指すパン屋さん「ペリカン」があります。

「パンのペリカン」の外観

「パンのペリカン」の看板

「ペリカン」は浅草にある老舗のパン屋さん。赤いテントのファサードがとてもかわいらしいです。たたずまいがすこし懐かしさを覚えます。「ペリカン」に到着すると、入れ代わり立ち代わりたくさんのお客さんがパンを購入するために来店していました。まさにひっきりなし。眺めていると、自転車や徒歩でお店に来る人が多いような印象。ご近所の方が多そうです。

気になったので、小さなお子さんを連れた女性に声をかけてみると、「いつも朝早く来て食パンを買っています」とのこと。お母さんと一緒にパンを買いに来た女の子も嬉しそうにニコニコしていて、見ている私も幸せになってきちゃいます。

「パンのペリカン」のばんじゅうに入った食パン

「ペリカン」は、朝の3時半から仕込みを始めて、お店の奥で食パンを焼きます。焼きあがった食パンは壁一面にどんどん並べられていきます。入口を入ってすぐの場所にレジがあるのみのテイクアウト専門店。レジで欲しいパンを注文して受け取ります。

「パンのペリカン」の商品棚に並ぶ食パン

「パンのペリカン」の食パン

「ペリカン」のメニューは食パンとロールパンの2種類のみ。食パンは日に400~500本、ロールパンは4000個が焼かれているそうです。食パンは早い時間に行けば予約しなくても買うことができるけど、ロールパンは予約必須という人気ぶりです。

「パンのペリカン」の店内で働くスタッフ

ペリカンのパンは昭和17年の創業の頃から変わらない味を今も守り続けています。

「昔はクリームパンとか、他の種類のパンも作っていたんです。でも、他の店と競合しない商売のやり方を考えて、ホテルや飲食店への卸しを中心にしました。そこで食パンと、ロールパンに絞って、今もそれを受け継いでいます」と、店長の渡辺陸さんに教えていただきました。

「パンのペリカン」の食パンのばんじゅうを移動するスタッフ

「パンのペリカン」の袋に入った食パン

今年30歳になるという渡辺さんは、創業者(曾祖父)、二代目(祖父)、三代目(叔父)という流れを受け継いだ4代目。このお店を引き継ぐ際には先代から「余計なことはするな」と教えられ、その教えを守って今も昔ながらの変わらない味を守り続けているそうです。

そのおかげで、親子3代でペリカンのパンを食べ続けてくれているお客さんや、遠方に引っ越したお客さんが数年ぶりに買いに来たりして、「変わっていない」と言ってもらえるのだとか。子どもの頃に食べていた味が今もそのままって、実はとっても贅沢なことなんじゃないかな、と思いました。

ペリカンという店名の由来は、ペリカンに似ていたという2代目社長の学生時代のあだ名から。可愛らしいお店のペリカンマークは東京芸大の学生さんのデザインなんだそうです。

「パンのペリカン」のペリカンのロゴ袋に入ったロールパン

焼きたてのパンのいい香りに包まれた店内で、わくわくしながら食パンを受け取ります。お客さんでレジも店の奥も大忙しといった様子でした。次々に焼きあがって棚に並べられる食パンの数々。パンの香りに食欲をそそられながらも、食パンを包む店員さんの手際の良さに思わずみとれてしまいました。

食パンを受け取ってまず思ったのが、通常の食パンよりもずっしりと重いということ。そう、これは重い!しっかり中身が詰まっているということです。たまらなくなって、ちょっとだけパンを味見してみることにしました。

袋を開けると、ふわっと焼きたてのパンの香が。食パンをぐるりと覆っているパンの耳の部分がとてもしっかりしていて、ひっぱってもなかなかちぎり切れないほどの弾力!中心の白い部分もぎゅーっと詰まっていて、みっちりしているのに驚くほどのふわふわ感。

「パンのペリカン」の商品棚に並ぶ食パン

口に入れるとパンの風味が広がって、しっかりとした噛みごたえです。渡辺さんにオススメの食べ方はトーストだと教えていただいたのですが、たしかにこの食パンは焼いたらとっても美味しいトーストになりそう。家に帰るのが楽しみになりました。

そうそう、保存方法もちゃんと教えていただきました。スライスして冷凍保存するといいと教えてもらったんですが、これだけ美味しいパンならすぐに食べきってしまいそう。お天気も上々、片手には美味しいパン。

「パンのペリカン」のばんじゅう

この場で食べすぎないようにパンをしまってから、次の目的地である両国へと向かうことにしました。

海の匂いを感じながら過ごす朝時間。[haletto house]

鎌倉市腰越に、halettoがちいさな宿をはじめました。いつもと違うけど、いつもと同じ、まだ知らない日々を感じてください。街に泊まる宿、halettoの【house】です。
詳細はこちら

HAGISO

東京都台東区谷中3-10-25

TEL 03-5832-9808

営業時間・定休日 12:00 -21:00 ※8:00-10:30 (カフェモーニング営業)・なし

※臨時休業あり

台東区循環バス「めぐりん」

料金 100円(大人・子ども同額) ※お客様1人に同伴された幼児は2人まで無料

TEL 03-5246-1111(台東区役所代表番号)

https://www.city.taito.lg.jp/index/kurashi/kotsu/megurin/

ペリカン

東京都台東区寿4-7-4

TEL 03-3841-4686(8:00-15:00)

営業時間 8:00-17:00 ※品切れの場合、閉店時間が早まる可能性あり

定休日 日・祝・特別休業日(夏、年末年始)

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この特集について

旅する東京ライフ

春が目を覚ましています。 桜咲く東京はゆらゆらと陽気さが漂っています。 こんなふわふわ気分で気持ち良い季節は、つい旅をしたくなるものです。 でも、なかなか休みは取れませんし近場でどこかないでしょうか。 伊豆? 日光? 信州? ちょ...

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