まずは気軽に飾ってみて。「LUFF」が考える花のある暮らしのはじめ方

花を飾ることすら躊躇してしまう私たちの毎日

花や緑にあふれたエコでロハスな生活。多少の憧れはあっても、花や観葉植物といった生き物を暮らしに取り入れるのは責任持てるかな…と考えてしまう。そんな中、1年以上枯れない花が飾れる魔法みたいなアイテム、「ハーバリウム」というものがあると知りました。

その生みの親となったフロリスト 上村拓さんが開いた清澄白河にある花屋が「LUFF(ラフ)」。

フロリスト(フローリスト)というのは、草花のプロフェッショナルで、花束づくりやアレンジメントも手掛けます。LUFFジャングルのような花屋という情報もあり、どんな人がお店を開いているのか気になりだします。店主の上村さんは30代で独立を果たしたということ。私たちと同世代で人気の清澄白に自分のお店を出すなんてすごいなあ。

LUFF流気取らず、気負わず。このお店そのものが自己紹介

清澄白河駅の前をまっすぐに走る清澄通りには、建てられた時から変わらぬ面影を残す、二階建ての清澄長屋があります。整備された通りに壁のようにつながった昭和の建物が新旧のコントラストを強く感じさせる街並み。その清澄長屋に突然現れたジャングルがLUFFです。

一室まるごとおしゃれにリノベーションし、2015年9月OPEN。店主の上村さんと奥様が一緒にお店を切り盛りしています。

外観のイメージとピッタリなLUFFという店名は「笑い」や「気取らないラフさ」がコンセプト。上村さんは、「このお店自体が自己紹介だ」と宣言しながらも、このスタイルが好きならWELCOMEという自分の趣味を押し付けることのない淡々とした仕事人です。

こだわりというよりも、自分の好きなものを置いていると語る店内では、木のフレームを重ねたディスプレイが目をひきます。まるでジャングルジムのようで、花も植物も自由に遊んでいるみたい!他とは一味も二味も違う花屋に来てしまったようです。

花だけでなく、小さな観葉植物から大きな観葉植物まで、揃っています。小さな鉢植えは、器も可愛らしく、謎のサボテンのオブジェを囲んでお祭気分のようなコーナー。

大きな松ぼっくりの飾りつけや、かごに入れられたエアプランツもインテリアの参考にして、大胆に楽しむアイデアにできそう。このジャングルには、予測不可能な面白い発見があります。

変化したいなら、動き出すこと

オフィスワークより、はっきり内容のわかる仕事が良いという想いから知識ゼロで花屋の世界に飛び込んだ上村さん。生真面目な性格から独立するまでになったといいます。

初めの職場で、現在世界的に活躍するフロリスト工藤準さんと出会い、デザインなどを教わったそう。次第にフロリストとしての才能が開花し、今のお店の空間に表される自由な発想や、美しい作品につながりました。

しかし、上村さん自身も、今のキャリアにつながるまでには葛藤もあったそうです。前職の時点から何度となく頭の片隅に浮かんでは、いつのまにか消え、再び蘇ってくる独立への想いを持っていたそう。

「もし今、転職したいならしたほうが良いと思います。なんで辞めないか、なんで辞めたいかを天秤にかけみたときに、迷っている気持ちが50:50なら、新しい方を取ることを勧めます。」という転職を意識することもある私たち世代への力強いメッセージ。

頭の片隅に変化したい気持ちがあるなら、いつか動き出してみてもいいんだという勇気の出る言葉でした。

だから清澄白河 頼りになる街の花屋さん

店を持つならこの地域以外には考えられないというほど、清澄白河に愛着を持っている上村さん。自分が生まれ育った土地で、自分の店を持つシンプルだけどはっきりした意志を持ってここに開店したことがうかがえます。

店内を観ている間にも、ご近所から来たらしいお客さんが次々と来店します。レジの後ろの光がたっぷり入るアトリエでコツコツと作業をしていた 奥様。お客さんのタイミングを見て丁寧にオーダーを聞き、すっと相手の要望をひきだします。 お客さんが花材にベリー系の枝ものを入れるか迷っていると、すかさず上村さんが「入れましょう」と言って、ササッと加えていきます。二人の息の合った接客も人情の町らしいワンシーンです。

花やグリーンを人に贈る時、自宅に飾る時、ありきたりでないものが欲しい時、センスの良い花屋が近所にあるのは幸せなこと。ここに来れば、きっと手にした人が喜ぶ花が揃えられる安心感があります。近所の若い人も、子連れのお母さんも、普段着で立ち寄れる花屋なんだという、ほっこりするお話しもきけました。

「たぶん大丈夫です」

サボテンを枯らすのは「ズボラというよりも、相手が望んでもいない間違った愛を注ぎ続ける重い人じゃないかと思うんです。」 といったギクッとする名言をブログで発信している上村さん。

観葉植物に付けられた手書きのプレートには、さりげないユーモアが光ります。「光にあてると葉色が良くなります」といった育て方のアドバイスから、「育てたことがない植物なのでよくわかりませんが、たぶん丈夫です」という、ちょっと笑えるコメントも。

また、「間違った育て方をして『枯れた。植物は難しい。もう買うの止めよう』となるのは悲しいです。」ともブログに記されているように、育て方に困ったらいつでも相談に来て良いそうです。花や緑のお世話に慣れないうちは、植物のお医者さんのような花屋がいると心強いですね。

LUFFという店名には、船の部分の名称であり、風上に向かって帆船を走らせる様を表す意味もあるそうです。やり方が分かれば、どんなこともできるよ!どこにでもいけるよ!という深い意味が込められています。

私にも取り入れられる「ハーバリウム」

私がこのお店にくるきっかけになった、ハーバリウムも見つけました。お店のオープン当初からの商品、ハーバリウムは上村さんが考えだしたものだそう。

花が咲いた時の姿で特別な液体の中に浮かぶ、いわば「花の標本」がハーバリウム。どんな花でも入れられるけど、見た目上むいてない花もあると上村さんは言います。棚に並ぶ様子は、独自の美的センスで選ばれたものたちがコレクションされているような雰囲気です。

このハーバリウム、最近は他の花屋さんから作り方を聞かれることもあるくらい話題になっています。1 ~2年は中にある花が枯れずにいるということ。花の命を長らえさせる実験をしているような、甘すぎないフォルムは男女問わず人気があるということです。

色とりどりのボトルは美しいなと眺めていると、ハーバリウムだったらずぼらな私でも生活に取り入れられるかもしれないという気がしてきます。

 

ハーバリウムから始まる小さな挑戦

花には深い興味がなかったという上村さんが、ゼロから花業界に飛び込んで今では独立して、自分の育った街に素敵な店を持っているように、続けているうちに見えてくることもあるのではと思います。

そして、お話を聞いているうちに、仕事の上でもきっかけがあれば、その先の別の道に進んでも良いという軽やかさを持っていたいと思いました。今の仕事や環境に迷ったときに、思い出したいLUFFという店名の持つ、笑う、気軽にという以外の、もう一つの意味を噛みしめた一時です。

仕事に悩んだり、誰かに愛を注ぎすぎて疲れたり、日々忙しく暮らしている私たち。花のある暮らしのうるおいを言葉の上ではわかっていても、実感できなければ日常の中には浸透しないでしょう。フリースタイルで「一回飾ってみれば?」というところから花のある生活を始めるのは、上村さんおすすめの方法。

まずはなかなか枯れないハーバリウムから、癒しのある家時間を始めてみませんか?花のある暮らしに飛び込んでみれば、可憐な姿が、迷える私たちの背中をそっと押してくれるかもしれません。

上村夫妻の個性的な花屋も、いまでは風情ある清澄白河の町にしっかり根付いています。コーヒー片手に街を歩いて小さなジャングルを見つけたら、躊躇せずに入ってみてください。楽しい発見のある花屋でおきにいりの花や緑に出会えるかもしれません。

(文・写真/設楽ゆう子)

LUFF

東京都江東区清澄3丁目3−27

都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」 徒歩4分

営業時間・定休日 10:00-19:00 月・火

http://luff.tokyo/

ライター

東京都生まれ。休日は近場の町探検へでかけます。気になった喫茶店にふらっと入り一息つくのが至福の時。出かけた先でお土産におやつを買うのが楽しみ。

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