大人になったあなたに知ってほしい 魔法のひみつ - 【ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法】

ゆりかもめ線テレコムセンター北口から徒歩4分。並木道を歩いて行くと、未来を感じさせる建物が立ち並んでいます。「日本科学未来館」です。

日本科学未来館へ向かうまでの道。木のアーチが展示場まで導いてくれます。

先日、4/9から開催中の「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」のプレス内覧会を訪ねてきました。

みなさん、「ディズニー」は好きですか?

ディズニーといわれて思い出すことといえば、映画館でみた話題作「アナと雪の女王」と、高校の卒業旅行でディズニーランドに遊びに行った、くらいのもの。好きではあるけれど、大ファンと公言する友人たちと比べると、深くは知らないのです。今回、プレスイベントの参加に手を挙げたのは、ディズニー作品の展示会場が「日本科学未来館」であることに興味を持ったから。美術館に行ってはお気に入りの一枚を見つけるのが好きな私は、「アート展」という響きにも惹かれました。ファンなら絶対参加したいに違いないこのイベント。私は少しだけずれた好奇心で訪れたのでした。

世界で最も有名なねずみから、海に選ばれた少女の誕生まで。

この展示会では、約90年分のディズニー作品の制作資料、約500点が時代の流れにそって展示されています。

展示会場に入ると、キャラクター達が描かれていく過程の動画が複数投影されています。

作品ごとに描かれたキャラクターの初期デザインである「原画」と、キャラクター考察のために描かれた「コンセプト・アート」。ほとんどが日本初上陸の貴重なものです。その見ごたえは十分で、音声ガイドを聴きながら会場を一周すると、2時間半が経っていたほど。

アート展 入り口

このような展示会を企画・主催するのがウォルト・ディズニー・アニメーション・リサーチ・ライブラリー(ARL)。作品資料の保存・保護を目的に活動するこの機関で、マネージング・ディレクターを努めるメアリー・ウォルシュさんが来日。こんなコメントを寄せています。

「アニメーションは20世紀の芸術手法でも特別なもので、世代や国を超えるものだと思っています。」
「本展を通じて、20世紀において最も、革新性と視覚的インパクトに富んだ芸術形式とも言えるアニメーションについて、皆さんの理解が深まることを願っています」

ディズニーの歴史をなぞることで、同時に、アニメーションの進化を知ることもできる。今回の展示を見る上で面白い視点のひとつです。その90年の「はじまりの作品」と、「最新の作品」をご紹介します。

アニメーションの革新と、ディズニーのはじまり。
世界初のトーキー・アニメーション映画「蒸気船ウィリー」

ⒸDisney Enterprises, Inc.

トーキー・アニメーションとは映像と音声が完全に一致したアニメーションのこと。今では普通のことですが、サイレントが定番であった1928年当時のアニメーション業界では、世界初の技術。大きな話題となりました。

ミッキー・マウスがはじめて主演を飾った作品でもあり、ディズニーにとって特別な映画です。原画とともに展示されているストーリースケッチは、漫画のラフ画のような見た目。鉛筆の走り書きのようなタッチで描かれています。

画の左横に、映画のストーリーのメモが。この手法は20年代後期から30年代初期の独特なもので、アニメーションの制作資料としてとても貴重なものだそうです。大切なものは、なるべく綺麗な状態で残しておきたい。後世に伝えていきたい。そういう人達の想いがつながって、今の作品ができている。そう考えると、作品ひとつひとつの工夫や、時代ごとの作品の表現を感じ、より展示会を楽しむことができます。


つむいできた歴史の開花。新たな「水」の表現に挑戦。
ディズニー最新映画「モアナと伝説の海」

モアナの展示ブース

20161123日に公開されたディズニーの最新作。監督は「リトル・マーメイド」や「アラジン」などを共同監督した、ロン・クレメンツとジョン・マスカーのコンビ。彼らにとって、はじめての3DCGアニメーション作品となる本作。これまで積み重ねてきた表現技術に、新たな挑戦を加えています。注目すべきは「ジョン・マスカーのスケッチブック」と「カラースクリプト」のふたつ。

【ジョン・マスカーのスケッチブック】

メアリーさん「ディズニーでは、ストーリーは制作中にも進化していきます。その過程を形にして展示にしたのは今回がはじめてのこと。」モアナの制作初期に書かれたコンセプト・スケッチから、世界観やストーリーの変更の過程を感じ取ることができます。手帳にペンで描かれたスケッチには、取材先で彼が出会った、のびのびと暮らす人々が。「海辺に住む人々の暮らしを描きたかったのかな?」「映画の中ではどう表現されたのだろう」

 【カラースクリプト】

カラースクリプトとは、制作段階初期から作られる、場面ごとの色味を描く設定画。並べてみると、全体の色味から世界観や感情が伝わってきます。「この作品では、水がとても重要。モアナ=水だといっても良いほどです。」とメアリーさん。過去、「ピノキオ」「リトル・マーメイド」の中でも印象的だった水の描写。ディズニーは、その時代ごと、最先端の表現技術に挑戦してきました。7年の歳月をかけた「モアナ」では、3DCG技術によって、いのちを持ったキャラクターのように水を描いているそうです。ぜひピノキオから順に見て、表現の違いを楽しみたいもの。ただストーリーを楽しむだけでなく、裏側の職人の挑戦を知り、より映像を楽しむという見方を知ったことは今回の大きな収穫でした。

 

展示を通してわかる、アニメーションの進化と職人の技術

時代の流れに沿って各作品が展示されると共に、ディズニーの企業としての歴史も展示されています。

なぜ、この展示会は「日本科学未来館」で開催されているのでしょう。

「懐かしいバンビの動き、ダンボの表情をディズニーがどのように科学を駆使して作ってきたのか。入口から出口まで時代に沿って、作品と共に使われた当時の科学技術を知っていただくことで、時代がアナログからデジタルへと変化していく中の、表現の変化もわかるはずです。」と語るのは、館長の毛利さん。

昔見た「バンビ」の衝撃が、いまも忘れられないといいます。

館長・毛利さんとモアナ声優・屋比久さん。(展示会開会式)

ディズニーのはじまりの作品である「蒸気船ウィリー」から、最新技術の集大成である「モアナ」。この2作品をみると、ディズニーが歩んできた90年間は、アニメーション技術の「進化の歴史」でもあることが分かります。他にも「不思議の国のアリス」、「リトル・マーメイド」、「美女と野獣」に「アナと雪の女王」など、誰もが一度は眼にした作品が生まれていく過程を見ることができます。

(※以下、アート展の一部を写真で紹介)

【ミッキーマウス】

ミッキーの顔のような入り口がお出迎え。蒸気船ウィリー等の作品が並びます。

4つの魔法の展示

①「自然の魔法」をかけた「バンビ」 ②「視覚の魔法」をかけた「ピノキオ」 ③「音の魔法」をかけた「ファンタジア」 ④「心の魔法」をかけた「ダンボ」。ディズニーが表現力を高めるために初期作品でかけた最新技術、4つの魔法が分かりやすく展示されている。

【不思議な国のアリス】

コンセプトアート「迷い込んでいくような道」

【美女と野獣】

実写版映画も2017年4月21日から上映されている「美女と野獣」。舞踏場シーンでは、セットを3DCGで作成し、印象的なシーンを作り上げています。

アナと雪の女王

ⒸDisney Enterprises, Inc. 劇中の雪や氷を表現するために、約2000種類もの結晶モデルを作ったそう。

時代と共に各作品の原画・コンセプトアートを見て回るうちに、忘れていた想い出がよみがえってきます。

そういえば父が白雪姫のビデオを買ってくれたな、あの頃は魔女が怖いと泣いて最後まで見られなかった。兄弟3人でダンボを見たときには、どうやったら飛べるのか布団から何度もチャレンジしたっけ。

強く意識してこなかったディズニーは、自分のこれまでの時間の中に、はっきりと存在していたのでした。

なんとなく「可愛い」や「面白い」で接してきた「ディズニー」。ドキュメンタリーや、ノンフィクションストーリーに弱い私にとって、作品の背景や技術者の方々の想いを感じる展示は、心動かされるものばかり。少しの好奇心で展示会へ訪れた今、ディズニーがこれだけ多くの人に愛される理由を体感できたと思います。

各時代、アナログな職人技とデジタルな最新技術が作り上げてきたディズニーの世界観。その工夫と挑戦が、もはや「魔法」とすら感じられるほどの作品を生み出し続けているということ。ひとつのジャンルとしての「ディズニー」をみにいくだけではなく、身近な作品たちを通して表現技術の進化を目の当たりにしたり、自分自身の思い出を探したり。大人になった今だからこそ、もう一度、ディズニーの魔法にかかってみてはいかがでしょうか。

「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」

Information
日時:2017年4月8日(土)-9月24日 10:00-17:00(最終入場は16:30)
休館日:毎週火曜日(ただし、5月2日、7月25日、8月の火曜日は開館)
場所:日本科学未来館 企画展示ゾーン
チケット:大人1,800円・小学生~18歳1,200円ほか、各種割引・グッズセット券あり。

こっちもおもしろい

気になるコラム