異なるものをミックスして、新しいものを生み出す。スパイスに教わった新しい発見。

燕三条での「三条スパイス研究所」との出会い。

photo by カナエ (画像出典元:http://shojiro-nkym.goat.me/5Iq8e4Gx)

こんにちは、haletto編集長の三宅です。

突然ですが、今年の1月、同じ30歳の旅仲間と一緒に、新潟県に旅行することがありました。旅の目的地である新潟市に乗り込む前に立ち寄ったのが、三条市・燕三条駅。「燕三条って何があるんだろう」と事前情報がほとんどないままに降り立った私の目に飛び込んできたのは、木材をふんだんに使用した圧巻の平屋の建物「三条スパイス研究所」でした。

中に入ると香ってくるスパイスの香り。
そして何より感銘を受けたのは、店内に掲げられた「スパイス」の概念について。

異なるものをミックスして新しい何かを生み出していくこと。

単なる味付けの香辛料としてではなく、気候風土との関わり、そこに暮らす人々が積み重ねてきた歴史や知恵の厚みを感じています。スパイスの本質は「文化のミクスチャー」なのです。

『SPICE Cafe』HPより

それこそが、三条スパイス研究所が考える、「スパイス」に対する考え方でした。

photo by カナエ (画像出典元:http://shojiro-nkym.goat.me/5Iq8e4Gx)

食事をする前にこちらの言葉を見た私の「スパイス」に対する考え方は、ガラッと変わってしまいました。食事はもちろん美味しかったのですが、こんな素敵なお店、東京に帰ってからも通ってみたい、と思っていたところ、東京にもお店があると店内に書かれているではないですか。

これはもう行くっきゃない、と決心して向かったのが、押上にある系列店「SPICE Cafe」です。

 

レトロで控えめ。だからこそホッとする空間

押上駅を出ると、この地のシンボルでもある「東京スカイツリー」がさっそく目に飛び込んできます。大型商業施設「東京ソラマチ」もあることから、駅前の様子は賑やかそのものです。

押上駅から徒歩15分ほどの場所にある「SPICE Cafe」。お店を目指して歩くにつれて駅前の賑わいは遠のき、代わりに閑静な住宅街が姿をあらわします。

たどり着いたのは、住宅街の一角にある古民家風の建物。目立つ看板などはないため、気をつけていないと通り過ぎてしまいそうですが、そのレトロで控えめな外観からは懐かしさと温もりを感じます。

入り口に到着し引き戸を開けると、民家の雰囲気を色濃く感じさせる空間がありました。まるでおばあちゃんの家を訪れた時のような、ほっとした気分になれます。

床や柱、店内に設置されているテーブルは木製で、プラスチックなどの人工物はいっさい見当たりません。「いつまでもここにいたい」と思ってしまうほどの、居心地の良さを感じます。

生まれ育った場所で、思いを届ける

こちらは、三条市の方でもスパイスや店舗の監修をされているオーナーシェフの伊藤一城さん。この「SPICE Cafe」の建物は、かつては伊藤さんのご家族が経営するアパートで、伊藤さんご一家は隣接する家屋に住まれていました。

その後20年以上空き家となっていましたが、自ら畳敷きだった床を板張りにしたり、壁を塗装するなどして内装を整え、2003年に「SPICE Cafe」をオープンさせました。
ここ押上は、伊藤さんが生まれ育った場所。愛着の強い場所であるがゆえ、お店をオープンする際も自然とこの地を選ばれたそうです。

 

「スパイス料理の魅力を伝えたい」

でもなぜ、そもそも伊藤さんはスパイス料理専門のお店を作ろうと考えたのでしょう?

伊藤さんは27歳の時に「世界中の食文化を知りたい」と思い、それまで勤めていた会社を辞めて世界を巡る旅に出られました。訪れたのは、アジアやヨーロッパ諸国をはじめとする48カ国。そして足かけ3年の、様々な食文化に触れる旅が終盤に近づいた頃、「料理人になりたい」という気持ちが強く芽生えたとお話してくださいました。

各国で様々な料理を食しましたが、なかでも伊藤さんが惹かれたのは、スパイスを使った料理。日本にはない、バラエティ豊かなスパイス料理に出会ったことで、その奥深さと面白さを身にしみて感じられたそうです。そして「スパイス料理の魅力を日本の人々にも伝えたい」という思いを原動力に、この「SPICE Cafe」をオープンさせました。

スパイスのミックスは文化のミックス

オススメの一品をお願いして出てきたのは、「ラム肩肉の煮込み」。

メインとなるラム肩肉には、カリフラワーをターメリックで煮込み仕上げたピューレがトッピングされています。添え物は、レモンのコンフィとセミドライトマト、そしてプルーン。また、シナモンやブラックカルダモン、スターニストといったスパイスがミックスされています。

異なるスパイスがミックスされることで、新しい香りや味わい位が生まれていくきます。それはまさに様々な国の文化をミックスしているといえます。

「SPICE Cafe」には「スパイス料理を通じて非日常感を味わってもらいたい」という思いが込められており、スパイスを新しい文化として生み出し、料理という形で届けている。まさに“非日常的な体験”といえるでしょう。

こちらの星型のスパイスはスターアニス。こんなにかわいらしいスパイスがあるなんて、驚きました。スパイスの世界への興味を、さらにかきたてられます。

異なるものを組み合わせてできるもの

日本中のどこを探しても見つからないような、目新しいスパイス料理を提供する「SPICE Cafe」。私たちは海外の文化や歴史を知ろうとするとき、その土地を実際に訪れてみたり本やインターネットの情報を調べてみたりと、視覚から吸収しようとします。今回訪れたことで、海外の文化や歴史を「味覚」から知るという体験をしました。また、情報から得るのではなく「スパイス」から得るというきっかけには新しい発見がありました。

スパイスのように、異なるものを組み合わせて新しいものを生み出すことは、料理に限らず普段の仕事や生活にも共通するのではないかと思います。そしてその伝え方は視覚だけではないのだと。

店内を満たす様々なスパイスの香りにイマジネーションをかきたてられたためでしょうか。鼻腔に残るスパイスの香りを楽しみながら家路につく間、まるで異国を旅した後かのような余韻に浸ることができました。

(取材・編集/ogata)

SPICE Cafe

東京都墨田区文花1-6-10
東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄浅草線 押上駅 B3出口 徒歩15分
TEL 03-3613-4020
営業時間・定休日 18:00-23:00(20:30 L.O.)・月/火

http://www.spicecafe.info/

編集長・プロデューサー

仙台生まれ。好奇心旺盛。週末、街歩きしながら外でビールを飲むことに至福を感じる。好きな街の種類はこじんまりした居酒屋がある場所。口癖は「なんとかなるさー」。最近、山ごはんに興味津々、みんなの親分。

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