たまごサンドと一期一会 川崎大師「ティールーム 城亜」

まだ雪の残る1月の終わり、晴れているけれどひんやりとした空気です。川崎駅から京急大師線へ乗り換え、3つ目の川崎大師駅へ到着しました。さすが川崎大師の最寄り駅とあって、鳥居と同じ朱色の柱が印象的です。まずはまっすぐ駅の目の前、大きなコーヒーカップが目印の「ティールーム城亜」へ。

扉を開けるとマスターの石渡さんが笑顔で迎えてくださいました。昭和26年から続く老舗の喫茶店。マスターが初代として築き上げてきたお店です。カウンター席とテーブルが4つの店内は、常連さんや参拝帰りのお客さんで賑わっています。

テーブルには手書きのメニュースタンドが。城亜の人気メニューは、厚焼き卵のたまごサンドにナポリタンやジャムトーストなど、喫茶店らしい素朴なメニュー。マスターに話を聞いてみると、「料理は全部奥さんが作っていて、僕は40年間何もしてないの。ゴミ捨てと掃除が仕事だからね」と愛嬌たっぷり。明るい奥さんと2人を支える娘さん、3人の空気感がこの居心地の良さを作っているんだなあと感じます。

窓からの風景を眺めているうちに、お待ちかねのたまごサンドが出来上がりました。

シンプルな味付けの厚焼き卵はボリューム満点。卵が軽くてふわふわでペロリと食べられそう。奥さんに作り方の秘訣を聞いてみると「特別なことはしてないの。でも機械を使わずに手作業で卵をしっかり混ぜるのがこだわりかしら」と教えてくれました。

熱々のナポリタンも、口の周りを赤くしながらいただきます。子どもの頃に戻ったみたいな気がするのは、懐かしい味だからかな。

マスターとお客さんとの掛け合いは、家族の一員のような、自然な会話です。常連さんは大先生と呼ばれる100歳の方や、マスターの同級生など古いなじみの方ばかり。座る席や頼むメニュー、それぞれの方がいつやってくるかまでマスターは覚えています。一人ひとりと大切にお話している様子を見ていると 、街の生活に溶けこんでいることを実感します。

マスター:「小さい頃から地元の大人にかわいがられて育ったんだ。お客さんからチップをもらって、仲見世通りの射的屋で遊んでいたんだよ。川崎のいいところは、声をかけてくれる地元の人がいるところかもしれないね」

城亜はマスターのご実家のお土産やさんを改装してできたお店。縁起物のだるまや新年の飾りもののを販売していて、5歳からお手伝いをしていたとか。

マスター:「学校の勉強は苦手で、15歳から品川の喫茶店でアルバイトをしていてね。その後、産業道路にある喫茶店で3年勤めてからお店を出すことにしたんだよ」

明るくてお話上手な性格は、この頃のご経験があるからなのかな、と昭和の時代を思い浮かべました。

マスターに見送られてお店を後にしました。せっかくだから、お参りして帰ろうということに。駅の左手には川崎大師へと続く「表参道・仲見世通り」が伸びています。路面店で売られていた焼きたてのお煎餅をかじりながら、通りを歩きます。

先ほどのランチは別腹のようで、参道の甘酒やお団子に気を取られながら大本堂にたどり着きました。お参りをすませて今日は帰ることにします。今度はきちんと厄除けをしてもらいに来よう。

マスター:「喫茶店は一期一会。気持ちで接することが大事だね」

そう語るマスターは、誇らしそうでとてもかっこよく見えました。人との出会いや自分自身が楽しむことを忘れずにいたからこそ、長くお店を続けられてきたのかもしれません。

はじめて訪れた川崎大師の街。「ただいま」と言いたくなるお店との出会いは、私にとっても大切な“一会”になりました。

(写真/鈴木直道)

halettoでは京急川崎大師エリアを特集しています

3月10日(土)には、今回訪れた「ティールーム 城亜」を会場に「まだ知らない街を探すZINEワークショップ 川崎大師編」を開催予定。特製のたまごサンドやナポリタンのランチもお召し上がりいただける、特別な街歩きワークショップです。詳細はこちらの記事をご覧ください。

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ティールーム 城亜

神奈川県川崎市川崎区大師駅前1-5-7
営業時間:7:00-19:00 ※季節により変動します
TEL:044-299-5389
定休日:なし

大阪生まれ。歌をうたうために高校卒業後、上京。海とビール、ひとり旅が好き。出かけるときは絶対アクセサリーをつける派。歌ったり作ったり書いたりしながら、自分らしい毎日を求めて暮らしています。

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